Back Number『わたがし』歌詞の真相と今なお愛される理由
なぜ『わたがし』の主人公は、これほどまでに臆病なのだろうか。フロントマンである清水依与吏が紡ぎ出す言葉の端々には、単なるフィクションを超えた痛々しいほどのリアリティが宿っている。楽曲タイトルに冠された「わたがし」は、甘くて儚く、力を込めて握りしめれば一瞬で萎んで消えてしまうモチーフそのものだ。
歌詞中では、普段とは違う浴衣を纏った意中の女性を前に、視線のやり場に困り、触れ合えそうな距離感に心拍数を乱す男性のモノローグが展開される。清水依与吏はかつてのインタビューで、自身の不器用な実体験や格好つかない感情を隠さずさらけ出すことこそがback numberの原点だと語っている。「残り何ミリの勇気」すら出せない男の情けなさは、完璧な王子様像とは対極にあるからこそ、聴き手の胸に深く突き刺さるのだ。