全国わずか150人!法医学者の年収と過酷な現場、警察医との違いを解説
人命を預かる重責と過酷な労働環境に見合うだけの高給が得られているのかといえば、現実は極めて厳しい水準にあります。
法医学者の多くは大学教員の身分であるため、その基本給は大学の給与規定に準じます。年代や役職によって異なりますが、助教・講師クラスで年収600万〜800万円程度、教授クラスで1,000万〜1,200万円前後が一般的な相場です。当直バイトや自由診療で年収1,500万〜2,000万円を超える臨床勤務医・開業医と比較すると、医師全体のなかでは決して高い給与水準とは言えません。
解剖1件あたり数万円程度の解剖手当が警察などから支給されるものの、執刀には数時間を要し、その後の薬毒物分析や膨大な鑑定書作成には数週間から数か月を費やします。時給換算すれば決して割に合う業務ではありません。
さらに現場を圧迫しているのが「激務の常態化」です。事件や事故は時間を選びません。真夏に発見された高度腐敗遺体の解剖では、強烈な異臭や感染症のリスクと戦いながら、ミリ単位の損傷を見逃さない集中力が求められます。専門医が1人しかいない地域では、体調不良であっても解剖を代わってもらえないという過密な勤務実態が浮き彫りになっています。