映画『人間失格』二階堂ふみの鬼気迫る怪演!富栄役の裏側と評価
蜷川実花監督が描いた本作において、最も観客を戦慄させたのが、二階堂ふみ演じる山崎富栄の変貌ぶりです。戦争で夫を失った若き未亡人であった富栄が、小栗旬演じる太宰治と出会い、急速に彼という底なし沼に溺れていく過程は、圧倒的な緊張感をもってスクリーンに焼き付けられました。
特に公開当時から大きな注目を集めたのが、小栗旬との濃厚なキスシーンや体当たりのラブシーンです。蜷川監督ならではの極彩色に彩られた映像美の中で展開される濡れ場について、当時のインタビューや舞台挨拶で二階堂ふみは「富栄にとって太宰さんと交わることは、生きることそのものであり、同時に死への契約でもあった」と振り返っています。
現場スタッフの証言によると、撮影は極度の集中状態の中で行われ、二階堂はリハーサルから完全に富栄の感情と同化。小栗旬演じる太宰の首筋にすがりつき、執念深く視線を絡ませる一連の仕草は、台本のト書きを超えた二階堂自身のアドリブと感情の昂ぶりが反映されたものでした。小栗旬自身も「ふみちゃんの放つエネルギーに飲み込まれそうになり、太宰として本気で圧倒された」と語るほど、現場には張り詰めた空気が漂っていました。