ロバート・レッドフォード名作と引退理由の真相|現在の姿まで総力検証
2018年8月、米エンターテインメント・ウィークリー誌の独占インタビューにおいて、レッドフォードは「『絶対に引退する』と断言すべきではないが、演技に関してはこれで終わりだと結論づけた。21歳の頃からやってきたのだから、もう十分だろう」と発言し、世界中のメディアに速報として報じられました。
その引退作となったのが、実在した伝説の銀行強盗を描いた『さらば愛しきアウトロー』です。銃を一度も発砲せず、誰も傷つけず、常に紳士的な笑顔で金を奪い、生涯に17回もの脱獄を繰り返した男フォレスト・タッカー。この規格外の人物像は、ハリウッドの巨大な商業システムから軽やかに身をかわし、インディペンデントの荒野を自由に疾走してきたレッドフォード自身の生き様そのものと重なります。
関係各社の取材や本人の手記から浮かび上がる引退の決定的な理由は、「肉体的な限界による挫折」ではなく「自らの意志でキャリアを美しく完結させる自己決定の精神」でした。老け役としてスクリーン上で無残に衰えていく姿を晒すのではなく、80代を迎えた自身の皺や白髪さえもエレガントな魅力に昇華させられる絶妙のタイミングを見定めていたのです。
撮影当時81歳だった彼が同作で見せたのは、犯罪を犯しながらも人生そのものを心から楽しんでいる無邪気な微笑みでした。「重苦しく悲劇的な作品ではなく、高揚感に満ちた前向きな物語で俳優人生を締めくくりたかった」と当時のプロモーション特番で語った通り、まさに映画史に残る完璧なカーテンコールとなったのです。