なぜ爆発コントは消えたのか?ドリフ火薬秘話と現代テレビの裏事情

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日本のテレビ史において爆発コントの金字塔を打ち立てたのは、間違いなくザ・ドリフターズです。特に最高視聴率50.5%を記録した伝説の公開生放送『8時だョ!全員集合』(TBS系)では、舞台装置の限界に挑む数々の伝説的仕掛けが生み出されました。

そもそも、喜劇における「爆発オチ」の元ネタは、アメリカの無声映画時代(チャールズ・チャップリンやバスター・キートンら)のスラップスティック・コメディや、カートゥーンアニメ(『トムとジェリー』など)に見られる身体破壊と即時再生のナンセンスギャグにあります。ドリフターズのリーダー・いかりや長介さんは、それら海外の視覚的ユーモアを日本の寄席・軽演劇の「屋台崩し(歌舞伎の舞台技術)」と融合させ、生放送の巨大ステージ上でリアルタイムに再現するという離れ業を成し遂げました。

『全員集合』の爆発の仕組みは、徹底したアナログ技術の結晶でした。ステージ上の実験室コントや鉱山コントでは、床下や壁裏に仕組んだ「マグネシウム火薬」と「電気雷管」を、舞台袖の特効職人が演者の動きに合わせてスイッチ操作していました。単に爆音を鳴らすだけでなく、壁が外側に綺麗に倒れるようヒンジをあらかじめ外し、ピアノ線でタイミングを同期させるなど、大工道具と火薬が一体となった高度な舞台工学が駆使されていたのです。

志村けんさんや加藤茶さんが絶妙な「間」でボケを放ち、いかりやさんのツッコミが入った刹那にドカンと破裂する――。あの神業的な呼吸は、綿密なリハーサルと、演者と裏方スタッフの絶対的な信頼関係がなければ成立しない職人芸でした。

田中 結衣

田中 結衣

デジタルマーケティングコンサルタント

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。