集団左遷の真相と手口を暴く!違法性の境界線と身を守る防衛術
集団左遷が最も大規模かつ組織的に行われてきた歴史を持つのが、熾烈な合併と再編を繰り返してきた銀行業界です。バブル崩壊後の金融再編期、メガバンク各行では旧行出身者同士の派閥抗争や重複支店の整理に伴い、数百人規模の行員が関連子会社や清掃・警備会社へ出向・転籍という名目で送り込まれました。
銀行業界において、集団左遷は「業績不振店舗への人員集中」という巧妙な手口を取ることが少なくありません。収益化が見込めず廃店が決まっている支店へ、本部方針に異を唱えた行員や高年齢層の行員を集積させ、到底達成不可能な貸出ノルマを課すといった苛烈なマネジメントが実在しました。
こうした実態を世に知らしめたのが、江波戸哲夫氏による1993年の経済小説『集団左遷』です。同作は1994年に東映で映画化され、2019年には福山雅治氏主演でTBS系日曜劇場『集団左遷!!』として連続ドラマ化されました。日曜劇場のキャスト相関図では、廃店予定の蒲田支店に送り込まれた支店長・片岡洋(福山雅治)や副支店長・真山徹(香川照之)らが、リストラを画策する専務・横山輝生(三上博史)率いる本部の理不尽に立ち向かう「痛快な下克上劇」として描かれました。
しかし、エンターテインメントとして昇華されたドラマと異なり、江波戸哲夫の原作小説の結末は極めてリアルでほろ苦い結末を提示しています。巨大な組織の歯車として使い捨てられるサラリーマンの限界と哀愁が生々しく描かれ、現実のビジネス社会における集団左遷の厳しさを浮き彫りにしました。
金融界にとどまらず、2010年代以降には大手電機メーカー各社で問題化した「追い出し部屋」の実態が司法の場で断罪されました。技術者や営業のエリート社員を集め、パソコンも電話もない部屋で自習を命じる、社内イントラネットから切り離して倉庫整理やシュレッダー係に専念させるといった行為が内部告発や裁判によって白日の下に晒された経緯があります。