クラッシュシンドロームの真実|救助直後に急変する理由と現場の救命鉄則

クラッシュシンドロームの真実|救助直後に急変する理由と現場の救命鉄則にまつわる最新トピックを分かりやすく発信ます。

大規模災害時、医療関係者が到着するまでの間に一般市民ができること、そして救急隊やDMATへバトンを渡すための正しい応急処置の手順を頭に入れておく必要があります。

がれきや家具に下半身が挟まれている被災者を発見した場合、まず行うべきは「挟まれた時間の確認」と「医療機関への確実な情報伝達」です。119番通報時、あるいは現場に到着した救助隊に対して、「何時から、体のどの部位が、どれくらいの重さのもので挟まれているか」を正確に伝えてください。挟まれている時間が2時間以上に及んでいる場合は、クラッシュシンドロームのハイリスク状態と見なされます。

被災者の意識がはっきりしており、自力で水分を飲み込める状態であれば、水分の補給を試みる価値があります。この際、最も注意すべきは「絶対にカリウムを含む飲料を与えない」ことです。スポーツドリンクの一部、野菜ジュース、果汁100%ジュース(特にオレンジやバナナ)、お茶類にはカリウムが豊富に含まれており、高カリウム血症に拍車をかける危険物となります。与える水分は、普通の水、またはごく薄い食塩水(水1リットルに食塩数グラム程度)、もしくは薬局等で手に入る重曹(炭酸水素ナトリウム)を微量溶かした水が適しています。重曹水は体液の酸性化(アシドーシス)を和らげ、尿のアルカリ化を促す助けとなります。

救助隊や医療班が到着したら、がれきを持ち上げる前に輸液治療のラインを確保してもらいます。生理食塩水を1時間に1,000〜1,500mLといった大量のペースで血管内に注入し、循環血液量をあらかじめ満たした状態でがれきを撤去するのが鉄則です。これにより、毒素が一気に心臓へ届くのを薄め、同時に腎臓への血流を維持して急性腎不全を防ぐことができます。

【プロの結論】一般市民の初動トリアージ|手を出すべき状況・待つべき状況の判断基準

災害心理学の観点から見ると、目の前で苦しむ家族や隣人を前にした人間は、「何もしないで見守る」という選択肢に耐えられず、本能的にがれきを動かそうとする強い衝動に駆られます。しかし、真の救命とは、自己満足の救出劇を演じることではなく、被災者が1か月後も生きて社会復帰を果たすことです。

市民救助における境界線は極めて明確です。
【即座に救出すべき状況】:周囲に火災が迫っている、倒壊が進行して生き埋めになる危険があるなど、その場に留まることが確実に命を奪う環境。
【救出を待つべき状況】:環境が安定しており、圧迫されてからすでに2時間以上が経過している場合。この場合はがれきを動かさず、被災者に声をかけて励まし、保温に努め、医療資格者が点滴セットや除細動器(AED)を持って現れるのを待つことが、医学的に最も生存率を高める賢明な選択です。

木村 陽翔

木村 陽翔

テックライター兼ウェブディレクター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。