ブラッシングとは単なる歯磨きか?誤解だらけの常識と決定的な予防策
良かれと思って続けている習慣が、かえって歯の寿命を縮めている事実は少なくない。特に注意すべきは逆効果になるNGな磨き方の数々だ。
SNSや動画サイトで拡散されがちな誤解の筆頭が「力を入れてゴシゴシ磨けば綺麗になる」という強圧ブラッシングだ。歯ブラシにかける適正圧は、秤に押し当てた際に100g〜200g(毛先が広がらない程度)である。これを超える圧力(300g以上)で長期間磨き続けると、歯の根元のエナメル質が削れて「くさび状欠損(フェザーリング)」を生じ、激しい知覚過敏や歯肉退縮(歯茎下がり)を不可逆的に引き起こす。
また、大量の研磨剤入りペーストを毛先山盛りにつけ、発泡剤の泡立ちとメントール香による爽快感で1分足らずで終了する磨き方も極めて危険だ。泡で口の中が満たされると、脳は「しっかり磨けた」と錯覚してしまう。
なぜここまで厳格なケアが叫ばれるのか。それには歯周病予防の決定的な理由がある。近年の医科歯科連携研究において、歯周病菌(ジンジバリス菌など)やその産生毒素が毛細血管から全身へと循環し、糖尿病の悪化、動脈硬化・心筋梗塞、誤嚥性肺炎、さらには認知症の進行に直接的関与を果たしていることが科学的に立証されたためだ。口腔内のブラッシングは、歯を守るだけでなく全身の生命予後を左右する重大な医療行動なのである。