2026年、変貌する大阪・飛田新地――大正の面影を残す「日本最大の歓楽街」が直面する光と影
街の入口に一歩足を踏み入れると、独特の緊迫感が漂う。スマートフォンの画面を向けることは、ここでは最大のタブーだ。建物の外観すら撮影は許されない。組合の警備員や店舗関係者が常に目を光らせており、もしカメラを構えようものなら、即座に厳しい注意が飛ぶ。プライバシー保護と女性たちの安全を守るための徹底した危機管理である。
スマホ社会となった2026年の今、この「完全撮影禁止」のルールは奇しくも若者たちにとって刺激的な体験として映る。どこへ行ってもSNS用の写真撮影が優先される現代において、デジタル機器の制約を受ける空間は稀有だ。視線と空気感だけで交渉が進む現場の緊張感は、かつての花街が持っていた暗黙のコミュニケーション文化を色濃く残している。それは犯罪防止の自衛策であると同時に、街の価値を神秘化させる防壁としても機能してきた。