2.26事件から90年|クーデターが4日で失敗した真相と暗殺の裏側
2.26事件を端的に説明するならば、「陸軍の青年将校たちが約1,400名の兵力を率い、政府要人を暗殺して軍事政権の樹立を目指したクーデター未遂事件」です。決起部隊は歩兵第1連隊、歩兵第3連隊、近衛歩兵第3連隊などの下士官・兵卒を「非常呼集」によって動員し、夜明け前の首都要衝を瞬く間に制圧しました。
襲撃部隊は綿密な計画のもと、複数の重要拠点を急襲しました。その標的となったのは、当時の内閣総理大臣・岡田啓介をはじめ、歴代首相経験者や軍首脳陣です。
【主要な襲撃対象と被害状況】
- 首相官邸(岡田啓介 首相):首相官邸襲撃では、首相秘書官であり義弟の松尾伝蔵が岡田首相と誤認されて射殺された。岡田啓介本人は女中たちの機転で押し入れに身を隠し、翌日に弔問客に紛れて奇跡的な岡田啓介脱出劇を果たす。
- 赤坂・高橋邸(高橋是清 大蔵大臣):「ダルマ蔵相」として国民的人気を誇り、軍事予算の抑制に尽力していた高橋是清が暗殺された。ベッドで就寝中を襲われ、拳銃で撃たれた上に軍刀で斬殺されるという凄惨な最期を遂げた。
- 四谷・斎藤邸(斎藤実 内大臣):前首相であり天皇の側近であった斎藤実が、数十発の銃弾を浴びて即死。夫をかばおうとした妻の春子も重傷を負った。
- 牛込・渡辺邸(渡辺錠太郎 教育総監):統制派の重鎮とみなされていた渡辺錠太郎が、自宅で幼い娘の目の前で機関銃を乱射され殺害された。
- 三番町・鈴木邸(鈴木貫太郎 侍従長):銃撃を受け重傷を負うも、妻・たかの必死の懇願によりとどめを刺されず、奇跡的に一命を取り留めた(鈴木は後に終戦時の首相を務める)。
青年将校らは警視庁や陸軍省、参謀本部をも占拠し、永田町・霞が関一帯は完全に決起部隊の制圧下に置かれました。