映画『陽だまりの彼女』真緒の正体と結末の真相|散りばめられた伏線
映画の冒頭、仕事先で偶然にも中学時代の同級生・渡来真緒と10年ぶりの再会を果たした奥田浩介。かつていじめられっ子だった真緒は、誰もが振り返る魅力的な女性へと成長しており、二人は急速に惹かれ合って結婚へと至ります。しかし、幸せの絶頂の中で真緒の体調は徐々に悪化していきました。
真緒の正体は、かつて浩介が幼少期に助けた「名もなき白猫」でした。真緒が浩介に抱いていた強い想いから人間の姿となって現れたものの、猫の寿命である十数年しか生きられない運命を背負っていたのです。さらに過酷なのは、「命が尽きると、関わったすべての人間の記憶から真緒の存在そのものが消滅してしまう」という世界のルールでした。
衰弱し、姿を消した真緒を探す浩介は、二人の思い出の地である江の島へ向かいます。そこで真緒からすべての真実を告げられた浩介は、涙を流しながら彼女を抱きしめます。夜明けとともに真緒は光の中へと消え去り、浩介の部屋から二人の写真や結婚指輪、そして浩介自身の記憶からも「渡来真緒」という存在が消え去ってしまいました。
しかし、映画のラストシーンで奇跡が訪れます。真緒の記憶を失ったはずの浩介が、街角のバーでビーチ・ボーイズの名曲『素敵じゃないか』を耳にした瞬間、無意識に涙を流します。そして再び訪れた江の島で、真緒によく似た仕草をする1匹の白猫と出会い、微笑みかけるところで物語は幕を閉じます。記憶は消えても、魂に刻まれた愛は決して消えないという、切なくも希望に満ちた結末です。