ビートルズ最後の新曲「Now and Then」奇跡の復元と歌詞の真相
ビートルズの「最後の新曲」とされる「Now and Then」の原点は、1970年代後半にニューヨークのダコタ・ハウスでジョン・レノンがピアノ弾き語りで録音した1本のカセットテープに遡ります。1980年にジョンが不慮の死を遂げた後、1994年に妻のオノ・ヨーコからポール・マッカートニーへと手渡されたテープには、「For Paul(ポールへ)」と記されていました。
1995年、ビートルズの歴史を総括する大型企画『ザ・ビートルズ・アンソロジー』のプロジェクトにおいて、ポール、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの3人はこの音源の完成を試みました。同プロジェクトでは「Free as a Bird」「Real Love」の2曲が見事に完成・発表されたものの、「Now and Then」だけはお蔵入りを余儀なくされたのです。
その最大の原因は、当時の録音状態にありました。ジョンのカセットテープにはピアノの音とボーカルが混ざり合って録音されており、さらには部屋の電源ノイズ(ハムノイズ)が激しく混入していたため、ジョンの歌声だけを綺麗に抽出することが当時のアナログおよびデジタル技術では不可能だったのです。ジョージが「音質的にこれ以上作業を進めるのは難しい」と判断したこともあり、楽曲は未完のまま長い眠りにつくこととなりました。