人間の血管の長さは地球何周分?10万キロの真相と血管年齢若返り法
毛細血管のミクロの世界では、人体の驚くべき物理適応が観察されます。酸素を運ぶ赤血球の平均直径は約7〜8マイクロメートルです。これに対し、末梢の毛細血管には内径が5マイクロメートル程度の非常に狭い場所が存在します。「赤血球よりも細い管をどのように通過するのか」という疑問の答えは、赤血球が持つ驚異的な「変形能」にあります。
赤血球は中央が窪んだ円盤状(スッポンモドキのような形状)をしており、柔軟性に富んだ細胞膜を持っています。狭い毛細血管に差し掛かると、自らをパラシュートや細長い筒状にグニャリと折り曲げ、血管内壁にぴったりと寄り添いながらすり抜けます。この密着によって、赤血球から組織への酸素拡散距離が極限まで短縮され、効率的なガス交換が達成されます。
さらに見逃せないのが、血管の内側をびっしりと覆う「血管内皮細胞」の働きです。かつては単なる血液の漏れ防止シートと考えられていましたが、近年の分子生物学研究により、体内最大の内分泌器官とも呼べる多彩な機能を担っていることが判明しました。血管内皮細胞は、血流による物理的な摩擦刺激(ずり応力)を感知すると、NO(一酸化窒素)を産生・放出します。このNOが中膜の平滑筋を弛緩させることで、血管がしなやかに広がり、血圧が安定します。内皮細胞が健康であれば血小板の異常凝集も防がれ、血栓の形成が予防されます。