上腕三頭筋の起始停止を徹底解剖!3つの頭が分かつ作用と鍛え分け
トレーニング愛好家の間で長年信じられている俗説の1つに、「ケーブル・プレスダウンをしっかり行えば上腕三頭筋は全体的に十分発達する」というものがあります。しかし、解剖学と力学の観点から言えば、これは明確な誤解です。
ケーブル・プレスダウンは、肘関節が体側の横(肩関節伸展位またはニュートラル位)に固定された状態で行われます。ここで思い出さなければならないのが、長頭が肩甲骨関節下結節に付着している二関節筋であるという事実です。肩関節が脱力した下垂位、あるいは後方に引かれた伸展位にあるとき、長頭は起始と停止の距離が極めて近づき、筋肉が短縮した状態になります。筋肉は過度に短縮した状態では十分な張力を発揮できないという生理学的特性(能動的不全)を持っています。
そのため、体側に肘を固定した通常のプレスダウンでは、負荷の大部分が単関節筋である外側頭と内側頭に偏重し、長頭の動員比率は著しく低下します。「プレスダウンをいくら行っても、二の腕の後ろ側から脇の下にかけてのボリュームが増えない」と嘆くトレーニーの真因は、この能動的不全を理解せずに種目を選択している点にあります。
長頭を完全伸張(フルストレッチ)させ、十分な筋張力を引き出すためには、肩関節を屈曲位(腕を頭上に持ち上げたポジション)に持ち込む必要があります。解剖学的な起始と停止の距離を物理的に引き離した状態を作って初めて、長頭は最大のエキセントリック負荷を受け止めることができるのです。