弥生時代の食べ物は米だけじゃない!発掘調査で暴かれた食卓の全貌
弥生時代の食生活の実態を最も解像度高く今に伝えているのが、佐賀県神埼郡に広がる国指定特別史跡吉野ヶ里遺跡です。環濠集落として名高いこの巨大遺跡の発掘調査資料からは、当時の支配者層と一般庶民の格差や、具体的なメニュー構成を示す確固たる物的証拠が多数見つかっています。
吉野ヶ里遺跡の墳丘墓や甕棺(かめかん)から出土した人骨のコラーゲン炭素・窒素同位体比分析によると、同じ集落内であっても身分の高い人物ほど海産魚類や動物肉を日常的に多く口にし、一般民は雑穀の比率が高い食生活を送っていたことが判明しています。まさに階級社会の成立が食生活の差異として刻み込まれていたのです。
考古学研究チームや歴史再現プロジェクトによって忠実に復元された弥生時代の再現メニューを検証すると、驚くほど豊かな滋味と、現代人には過酷な「咀嚼(そしゃく)の壁」が見えてきます。
実食した研究員や学芸員の手記によると、「ひと口ごとに数十回咀嚼しなければ飲み込めないほど繊維質と弾力が強く、一食を終える頃には顎の筋肉に心地よい疲労感が残る」と報告されています。現代人が失ってしまった強靭な咀嚼力こそが、この素朴で力強い食事を十全に消化吸収するための必須条件でした。