映画史の最高峰はいかにして作られ、なぜ今も我々を狂わせるのか?『地獄の黙示録』が2026年の世界に突きつける「人間の正体」
ジョセフ・コンラッドの小説『闇の奥』をベトナム戦争へと置き換えた本作は、特定の時代背景を超えた普遍的な人間論でもある。ジャングルの奥深くへと川を遡上していくウィラード大尉の舟旅は、そのまま人間の精神の奥底へと潜っていく心理的な巡礼だ。
理性を誇る近代文明が、手付かずの自然と戦争の狂気に晒されたとき、いかに呆気なく崩壊するか。スマートフォンやSNSによって理性が揺らぐ現代社会の混乱とも見事に重なり合う。我々が日常で着けている「文明人」という仮面がいかに脆いものかを、暗闇の奥からカーツ大佐が静かに問いかけてくる。