教科書から消えた「帰化人」の真実|渡来人との違いと日本のルーツ
古代日本史において、海外から移住してきた人々を指す言葉として長年定着していたのが「帰化人」です。しかし、1970年代から1980年代以降の歴史教科書では、次第に「渡来人」という表記が主流になりました。
「帰化」という言葉には、古代中国の思想に由来する「天子の徳を慕って、その臣民となる(教化に服する)」という意味合いが含まれています。戦前の皇国史観や大和朝廷中心の歴史観では、「天皇の徳に惹かれて海外から服従しにやってきた」という解釈が強調され、その文脈で「帰化人」という語が採用されていました。
しかし戦後の歴史学において、当時の東アジア情勢や考古学的な出土品の分析が進むにつれ、移住の実態は単なる臣従ではなく、戦乱を逃れた集団移住や、ヤマト政権による先進技術者の招聘、自発的な交易活動など多岐にわたることが明らかになりました。「大和朝廷を上位とする一方的な視点」を見直し、より客観的に「海を渡ってやってきた人々」を表現する言葉として、「渡来人」という呼称が教育現場に定着していった経緯があります。