ショパンエチュード難易度格付け!全27曲の序列と挫折しない攻略法

ショパンエチュード難易度格付け!全27曲の序列と挫折しない攻略法にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。

ピアノ界において長年議論が交わされてきたショパンエチュード難易度ランキングですが、その評価基準は単に「音符の細かさ」や「指定テンポの速さ」だけで測れるものではありません。全音ピアノピース難易度(A〜Fの6段階表記において、エチュードの多くはEから最高峰のFに指定)や、ドイツの原典版出版社ヘンレ社が公表している難易度スケール(全9段階中グレード7〜9)、さらには国内外の音楽大学入試課題曲の採用傾向を綿密に比較検証すると、難易度を決定づける「3つの軸」が浮かび上がってきます。

第1の軸は「運動生理学的な負荷(指の独立と関節の拡張)」、第2の軸は「ポリフォニーおよび音色コントロールの要求度」、そして第3の軸が「指定テンポを持続するためのスタミナ」です。これらを総合し、ショパンエチュード全曲一覧(作品10の12曲、作品25の12曲、新練習曲3曲)を客観的に格付けしたデータが以下の比較表です。

曲名・調性難易度ランク・指定テンポヘンレ/全音基準編集部の見解・主要課題Op.10-1 ハ長調(アルペジオ)神話的難関(特S)
♩=176ヘンレ:9
全音:F右手1-2指・2-4指の極度な拡張と柔軟な手首移動。初手で手を痛める最大の原因。Op.10-2 イ短調(半音階)神話的難関(特S)
♩=144ヘンレ:9
全音:F右手3-4-5指のみで半音階を駆け巡りつつ1-2指で和音伴奏。生体力学的に最も不自然。Op.25-6 嬰ト短調(3度)神話的難関(特S)
♩=69(半拍速)ヘンレ:9
全音:F全編を支配する右手の超絶重音3度トレモロ。脱力と指の精密な独立性が極限まで試される。Op.25-11 イ短調「木枯らし」超難関(Sランク)
四分音符=69(2/2拍子)ヘンレ:9
全音:F右手の細密な半音階・跳躍の嵐に加え、強靭な打鍵持久力が必須。後半の失速が命取り。Op.10-4 嬰ハ短調(激情)超難関(Sランク)
Presto ♩=176ヘンレ:9
全音:F両手の息もつかせぬ高速パッセージとアーティキュレーション。左右の完全な対称性が必要。Op.25-8 変ニ長調(6度)超難関(Sランク)
Vivace ♩=69ヘンレ:9
全音:F両手同時に平行移動する連続6度の重音。手の幅と掌の柔軟性が欠かせない隠れた難曲。Op.10-5 変ト長調「黒鍵」難関上級(Aランク)
Vivace ♩=116ヘンレ:8
全音:F黒鍵特有の細い打鍵面を滑らせず正確に捉える指先感覚。軽快な手首の脱力が生命線。Op.10-12 ハ短調「革命」難関中堅(Bランク)
Allegro con fuoco ♩=160ヘンレ:7
全音:F左手の無窮動的アルペジオとパッセージ。右手の強打和音に力まないバランス感覚が鍵。Op.10-3 ホ長調「別れの曲」難関中堅(Bランク)
Lento ma non troppo ♪=100ヘンレ:7
全音:F美しいカンタービレの背後で求められる片手多声部処理と、中間部(Bセクション)の激烈な跳躍重音。Op.25-2 ヘ短調入門推奨(Cランク)
Presto ♩=112ヘンレ:7
全音:E3連符対2連符のポリリズムと脱力の訓練。肉体的破綻リスクが全曲中最も低く入門に最適。Op.10-9 ヘ短調入門推奨(Cランク)
Allegro molto agitato ♩.=96ヘンレ:7
全音:E左手の広音域分散和音と手首の柔軟性。打鍵の衝撃を逃がす感覚を掴むのに適した構造。3つの新練習曲 第1番 ヘ短調入門初動(Dランク)
Andantinoヘンレ:6〜7
全音:E右手3連符と左手2拍子のポリリズム習得。技巧的な暴力性がなく、純粋なタッチの統制を学べる。

他のピアノエチュード難易度比較(ツェルニー50番、モシュコフスキーOp.72、リストのエチュードなど)と照らし合わせても、ショパン作品は「最低でもツェルニー40番全曲およびモシュコフスキーの主要曲を軽々と通過したレベル」をスタートラインとして要求しています。ショパンOp.25難易度順を見ても明らかなように、25-2のような比較的着手しやすい楽曲から、25-6や木枯らしといった世界最高峰の超絶技巧まで、同じ曲集の中で極端な落差が存在しているのです。

伊藤 翔太

伊藤 翔太

フード&トラベルライター

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。