「よしもない」の意味と漢字の正解!「術もない」との違いと使い方
日常会話や執筆の現場で最も混同されやすいのが、由もないと術もないの違いです。どちらも「手段がない」というニュアンスを含んでいるため同義語として雑に扱われがちですが、言葉が射程に収めている事象の性質は明確に異なります。
術もないの意味を辞書的に紐解くと、「術(すべ)」とは具体的なスキル、やり方、処置の方法を指します。つまり「術もない」は、目の前にある具体的なトラブルに対して「実務的なテクニックや打ち手が見つからない」という技術的・物理的な行き詰まりを表す際に用いるのが適切です。例えば、サーバーが物理的にクラッシュしてバックアップもない状況でエンジニアが頭を抱える場面は、まさに「復旧する術もない」状態といえます。
対照的に「由もない」は、物理的な処置以前の「情報へのアクセス権」「歴史的背景」「人間関係のゆかり」といった抽象的・根源的なルートが存在しない状況を指します。「その事象に近づくための糸口すら持ち得ない」というニュアンスを帯びる点が決定的な差異です。