1粒千円超!幻のさくらももいちごが高い理由と元祖との違い【2026】
百貨店の特設サロンや高級果実専門店で「さくらももいちご」に対面した消費者がまず息をのむのは、その値札です。化粧箱に大粒が12〜15粒収められた特秀品は1箱1万5,000円から2万円前後、大玉の極上品に至っては1粒あたり1,000円から1,500円相当で取引されます。この価格設定は、単なるプレミアム演出ではありません。極めて厳格な栽培管理と、極端なまでの希少性に裏打ちされています。
最大の要因は、生産地と生産者が極限まで絞り込まれている点にあります。この苺を栽培できるのは、世界中で徳島県名東郡佐那河内村の限られた生産農家のみです。JA徳島市 佐那河内支所の厳格な指導のもと、部会員として認められた約20〜30軒前後の篤農家だけが門外不出の苗を託され、栽培技術の秘匿と品質管理を徹底しています。
さらに、1株から収穫する果実の数をあえて極限まで減らす「間引き(摘果)」の徹底が原価を押し上げています。通常の栽培では1つの苗から数十個の果実を収穫しますが、さくらももいちごでは養分を1点に集中させるため、形の良いわずか数個だけを残して他をすべて摘み取ります。収穫量を犠牲にして糖度と大粒化を極限まで追求するこの手法は、農業工学というより伝統工芸に近い手間暇を要します。
青果市場関係者への取材によると、出荷時の選果基準の厳しさも群を抜いています。糖度、色づき、果形、傷の有無をセンサーと熟練の目視で二重にチェックし、わずかでも基準を満たさないものは容赦なく規格外へ落とされます。市場に流通する「特秀」の冠を冠した木箱は、選考を勝ち抜いた一握りのエリート果実だけで構成されているため、必然的に1粒数千円規模の取引相場が形成される仕組みです。