赤ちゃんが時間差で吐く原因とは?ヨーグルト状の嘔吐と受診目安を解説
時間差の嘔吐や度重なる吐出の背景には、ときに解剖学的・器質的な疾患が介在します。小児科医が鑑別において真っ先に念頭に置く三大疾患について、現場の症例実態を整理します。
第1に挙がるのが肥厚性幽門狭窄症です。胃の出口にあたる幽門部の筋肉(輪状筋)が異常に肥厚し、十二指腸への食物通過を塞いでしまう疾患です。生後2〜3週間頃から発症し、男児(特に第1子)の発生頻度が女児の4〜5倍と高い特徴があります。初期は単なる吐き戻しに見えますが、日を追うごとに回数と勢いが増し、授乳直後から数十分後に「噴水状」にミルクを飛ばして吐くようになります。胃の内容物が腸へ降りないため胆汁は混ざらず白いまま吐く点、激しく吐いた直後も空腹感から激しくミルクを欲しがる点が鑑別のポイントです。超音波検査で幽門筋の肥厚が確認されれば、輸液補正を行った上で手術(粘膜外幽門筋切開術)または硫酸アトロピンを用いた内科的治療が選択されます。
第2に注意すべきは乳児胃軸捻転症です。胃を腹壁につなぎとめる靭帯が未熟なため、胃が長軸または短軸方向に異常にねじれてしまう病態を指します。授乳中から授乳後にかけてお腹がパンパンに張って激しく泣きぐずり、げっぷが極めて出にくい、授乳後しばらくしてから大量に吐くといった症状が現れます。大半は成長に伴い周囲の組織がしっかりしてくる生後6ヶ月〜1歳前後で自然軽快しますが、授乳姿勢の工夫や腹部膨満への適切な排気処置が求められます。
第3が胃食道逆流症(GERD)です。乳児期にはある程度の逆流は生理的現象(GER)として認められますが、逆流頻度があまりに過剰で胃酸による食道粘膜の炎症を引き起こし、哺乳拒否、激しい背部アーチング(仰け反り)、慢性的な咳嗽、体重増加不良を伴う場合に疾患として診断されます。吐き戻しの頻度だけでなく、哺乳時の苦悶様表情や不機嫌が持続するかどうかが赤ちゃん嘔吐受診の目安を測る臨床的シグナルとなります。