放送30周年の奇跡――なぜ今「いないいないばあ くぅ」が令和のSnsを席巻しているのか? 記憶の彼方から蘇る“ピンクのあの子”の正体
くぅを語るうえで絶対に外せないのが、トレードマークであるラッパ型の耳だ。嬉しいとき、驚いたとき、あの耳からパパパッと音が鳴り響くような仕掛けは、幼い視聴者の視覚と聴覚を一瞬で奪い去った。
雲のようでもあり、不思議な小動物のようでもある不定形な温かさ。CGが本格的に導入される以前のアナログなパペットだからこそ宿っていた、布地の質感や手のぬくもりがそこにはあった。乱暴に扱えば壊れてしまいそうな儚さと、抱きしめたくなるような柔らかさ。
造形作家の手によって生み出された有機的な表情は、完璧に計算された現代のデジタルトイにはない「すき間」を持っていた。その不完全さこそが、子どもたちの想像力をどこまでも広げる余白になっていたのではないだろうか。