一生に一度の願い、2026年の天王寺で人々は何を祈るのか——堀越神社が問い直す「選ぶこと」の重み
もう一つ見落としてはならないのが、境内に祀られている「熊野第一王子之宮」の存在だ。平安の昔、上皇から庶民に至るまで熱狂的なブームとなった熊野詣。京都を発ち、淀川を下って天王寺の地に降り立った巡礼者たちが、紀伊路の過酷な旅路へ踏み出す第一歩として手を合わせたのが、かつて近隣の窪津に置かれ、のちにここへ合祀された第一王子だった。
当時の熊野詣は、命を落とす危険すら伴う命がけの越境だった。再生を期して熊野の深山幽谷を目指す旅人たちは、この地で日常との決別を誓ったのだ。2026年の私たちが堀越神社に惹かれる理由も、おそらくそこにある。日常のルーティンから自らを切り離し、未知の領域へ踏み出すための「精神のパスポート」を受け取る場所。参拝とは本来、安全地帯から一歩外へ出るための儀式だったのだと思い出させてくれる。