解剖医の過酷な現場と年収の真相!人手不足の理由と知られざる実態に迫る
一口に「解剖」と言っても、その法的位置づけや担当する医師の役割は明確に分かれています。ニュースやメディアを正しく理解する上でも、これらの違いを把握しておくことが欠かせません。
まず、刑事訴訟法に基づき、犯罪捜査や事件性の有無を調べるために裁判所の令状を得て実施されるのが「司法解剖」です。全国の大学法医学教室が警察からの嘱託を受けて執刀します。一方、事件性はないものの原因が分からない突然死や異状死に対して、公衆衛生の向上や死因究明を目的に行われるのが「行政解剖」(および死因・身元調査法に基づく新法解剖)です。
ここで混同されやすいのが「監察医」と「病理医」の立ち位置です。
- 監察医:死体解剖保存法に基づき、行政解剖を行う医師。政令指定を受けた特定地域(東京23区、大阪市、神戸市など)にのみ常設されており、全国的な制度にはなっていません。
- 病理医:主に病院で生検組織や手術で切除した組織を診断し、生きた患者の治療方針決定を担う医師。病気で亡くなった患者の病因究明のために「病理解剖」も行いますが、法医学のような事件・事故死体は扱いません。
同じ解剖を扱う医師であっても、生者の治療を支える病理医と、死者の死因から社会の安全を守る解剖医では、求められる専門性と法的手続きが大きく異なります。