『かぐや姫の物語』帝のあごはなぜ尖る?理由と演出意図を徹底解剖

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日本最古の物語とされる古典『竹取物語』における帝の扱いは、ジブリ版とは大きく異なります。原作の帝は、求婚を断られた後もかぐや姫と風雅な和歌のやり取り(文通)を何年も続け、互いに精神的な絆を深め合う聡明で切ない風流人として描かれています。

かぐや姫が月に昇った後、残された「不老不死の薬」を「姫のいない世界で生き永らえても何の意味もない」と嘆き、日本で一番高い山(駿河の山=富士山)の山頂で煙とともに焼かせたエピソードはあまりにも有名です。

ジブリ版『かぐや姫の物語』では、貴族社会の欺瞞や、女性を一人の人間として見ずに所有物として扱おうとする男たちの愚かしさを浮き彫りにするため、あえて帝のキャラクターを再構築しました。古典のロマンティシズムを解体し、生々しい人間のエゴをアニメーションの極致で描き切った点に、高畑勲という映画作家の凄みが宿っています。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。