怪人赤マントの正体とは?実在事件のモデルと都市伝説の真相を追う
「怪人」という呼称や「マント」という意匠の定着には、当時の大衆文化が深く関わっています。特に決定的だったのが、昭和11年(1936年)から雑誌『少年倶楽部』で連載が始まった江戸川乱歩の代表作『怪人二十面相』の大ヒットです。
神出鬼没でシルクハットに黒マントを翻す二十面相は、当時の少年少女にとって最大のダークヒーローであり、恐怖と憧憬の対象でした。子どもたちの間で「怪人=マントを着た不気味な存在」という共通認識が一気に醸成されたのは間違いありません。
しかし、物語の中の二十面相と、現実の噂となった赤マントには明確な境界線が存在します。
二十面相は美術品や財宝のみを狙い「決して人を殺傷しない」という美学を持つ怪盗でした。一方、都市伝説の怪人赤マントは、子供を直接害し、連れ去り、血を流させる残酷な存在として語られます。黒から「血」を想起させる「赤」への色彩の変容は、エンターテインメントの枠を飛び越え、より原始的な流血への恐怖と結びついた結果と言えるでしょう。