是枝裕和の最新作『箱の中の羊』公開!怪物超え挑む家族劇の全貌

是枝裕和の最新作『箱の中の羊』公開!怪物超え挑む家族劇の全貌の詳細解説をお届けします。役立つ情報が満載です。

本作に関して、一部の映画ファンやネットニュースの間で生じていた大きな誤解があります。それは「是枝監督が突如としてハリウッド的な近未来SF映画へと舵を切ったのではないか」という穿った見方です。

確かにプロットには「ヒューマノイド」というSF的ガジェットが登場します。しかし、試写を観た映画評論家やジャーナリストが口を揃えるのは、「本作はSFという枠組みを借りた、純度の高い人間ドラマである」という点です。作中においてヒューマノイドは、特殊能力を発揮したり派手なアクションを展開したりするわけではありません。あくまで「失われた我が子の不在」を際立たせるための鏡面として配置されています。

かつて『そして父になる』(2013年)で血の繋がりか共に過ごした時間かを問い、『万引き家族』(2018年)で犯罪で結ばれた擬似家族を描いた是枝監督は、本作において「命の有無すら超越した繋がりは成立するのか」という限界領域に踏み込みました。道具立ては現代的でありながら、描き出される感情の機微は、小津安二郎や成瀬巳喜男の系譜を継ぐ極めてクラシカルで繊細な人間賛歌に他なりません。

前田 葵

前田 葵

サステナビリティ研究家

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。