継国巌勝はなぜ黒死牟へ堕ちたのか?縁壱への嫉妬と最期の笛を解く
巌勝の人間時代を語る上で欠かせないのが、武士としての身勝手さと、それに伴う凄絶な鍛錬の記録です。巌勝には武家を継いだ際に娶った妻と子供が存在していました。しかし、再会した縁壱の圧倒的な力を前にした時、彼は「妻子を捨てて剣の道へ走る」という常軌を逸した選択を平然と下します。
鬼殺隊に合流した巌勝は、縁壱から直々に「日の呼吸」の指導を受けました。しかし、どれほど身体を酷使しても日の呼吸を完全にものにすることは叶いませんでした。縁壱の呼吸をそのまま模倣できなかった巌勝は、自らの剣技に合わせてアレンジを加え、派生技である「月の呼吸」を編み出します。
無数の三日月型の斬撃を撒き散らす広範囲の剣技は、鬼狩りの中でも突出した威力を誇り、実質的な鬼殺隊ナンバー2の実力者へと押し上げました。しかし、「日の呼吸を継承できなかった」という事実は、巌勝にとって誇りではなく、拭い去れぬ敗北の証でしかありませんでした。武士の頂点、剣術の極致を目指しながらも、常に弟の背中を見上げる位置に留まり続けた焦燥感が、彼の魂を蝕み続けていたのです。