1枚330万円の狂乱はなぜ起きたのか?嵐のチケット転売“歴代最高額”の深層と2026年に残された教訓
冷静に見れば正気の沙汰ではない。なぜ、そこまでの大金を投じる人間が後を絶たなかったのか。答えは明白だ。「これを見逃せば、二度と会えない」という強迫観念である。
2019年1月の休止会見以降、ファンの胸中に渦巻いたのは底知れぬ喪失への恐怖だった。五人が同じステージに揃う姿は、当面の間見られなくなる。その「最後」に居合わせることができるなら、貯金をすべて吐き出しても構わない。借金をしてでも入りたい。そんな悲壮感漂う心理が、需要と供給のシーソーを極限まで傾けた。
「積む」と呼ばれる非公式の悪習も、この時期に最悪の形で定着してしまった。チケットの価値を金額で測り、大金を積んだ者こそが真のファンであるかのように錯覚させる歪んだヒエラルキー。ブローカーたちはその心理的盲点を巧みに突き、弱ったファン心理を徹底的に搾取していったのだ。