縮んだセーターの戻し方決定版!プロが明かすトリートメント復活劇
セーターが縮む現象を正しく理解するには、羊毛や獣毛のミクロ構造に目を向ける必要があります。日本繊維製品消費科学会などの学術資料でも示されている通り、セーター縮みの原因とスケール構造には密接不可分の関係が存在します。
ウールやカシミヤといった動物性繊維の表面は、「スケール(鱗片)」と呼ばれるうろこ状の表皮で覆われています。これは人間の毛髪のキューティクルと酷似した組織です。乾燥している状態ではスケールは平らに閉じていますが、水に浸かると水分を吸収して外側に大きく開く性質(湿潤膨潤)を持っています。
開いたスケール同士が、洗濯機内の激しい水流や脱水時の遠心力、衣類同士の摩擦を受けると、まるでマジックテープのように互いの爪を噛み合わせてしまいます。この噛み合いが水流の回転によって幾重にも固く締め上げられ、繊維同士が密集して硬化する現象を「フェルト化」と呼びます。つまり、繊維そのものが縮んで短くなったのではなく、繊維同士が複雑に絡まり合って身動きが取れなくなっている状態こそが、縮みの正体なのです。