ネット特定班の恐るべき手口|瞳の反射や電柱から暴かれる身バレの罠
ネット特定班が用いる調査技術は、軍事や諜報機関でも使われる「OSINT(オープン・ソース・インテリジェンス)」そのものです。ハッキングのような不正アクセスを行うのではなく、Web上に合法的に転がっている断片的な公開情報を集約・照合して全体像をあぶり出します。
ネット特定班の仕組みにおいて、最も基本とされるのが画像内の背景情報の徹底的な洗い出しです。多くのユーザーが無意識に見落としている「特定の手がかり」には、次のようなものがあります。
第一に警戒すべきは、特定班が瞳の反射から風景を読み取る手法です。近年のスマートフォンは前面カメラであっても極めて高い解像度を誇ります。自撮り写真の瞳の角膜に映り込んだ街灯の形状、ビルの輪郭、電車の行先表示などを超解像拡大することで、被写体がどこを向いて立っていたのかが割り出されます。過去には、瞳に映った駅のホームと景色の特徴から駅を特定し、アイドルの帰宅ルートを待ち伏せしたストーカー事件が社会に大きな衝撃を与えました。
第二に、足元や道路脇に潜むインフラ情報です。特定班はマンホールや電柱に刻まれた固有情報を決して見逃しません。日本のマンホールの蓋には、各自治体固有のデザインや市章、下水道の管理番号が記されており、それだけで市区町村レベルまで絞り込めます。さらに決定打となるのが電柱です。電柱には必ず「電柱番号(札)」が取り付けられており、電力会社名やNTTの標識、数桁の数字と記号の組み合わせから、設置されている番地をピンポイントで照会できます。
これらに加えて、太陽の傾きと建物の影から撮影日時・方角を逆算する日照計算、航空機の航路や飛行音、そして特定班がGoogleストリートビューを駆使して行うバーチャルな現地ローラー作戦が合流します。わずか数平方センチメートルの背景の断片が、全世界に公開されたパノラマ画像と瞬時にマッチングされ、数分から数時間で「現場」が特定されてしまうのです。