自動筆記は霊か心理現象か|手が勝手に動く謎と危険性・やり方の真相
この現象を調べる際、多くの人が抱く疑問が「自動筆記」と「自動書記」の違いです。言語学・翻訳史的な結論から言えば、英語の「Automatic writing」やフランス語の「Écriture automatique」の訳語の違いに過ぎず、概念としては同一のものを指しています。ただし、現代の日本においては文脈によって使い分けられる傾向が見られます。
一般的にオカルト、降霊術、スピリチュアルなチャネリングを語る場面では「自動筆記」と呼ばれるケースが多く、文学、心理学、学術論文、あるいは芸術運動の文脈では「自動書記」または「オートマティスム」と呼ばれるのが通例です。
特に歴史的転換点となったのが、1920年代にフランスで巻き起こったシュルレアリスム(超現実主義)運動でした。詩人アンドレ・ブルトンとフィリップ・スーポーは1919年、理性の検閲や美意識による修正を一切排除し、思考の赴くままに猛スピードで言葉を書き殴る実験を行い、共著『磁場』を発表。1924年の『シュルレアリスム宣言』において、ブルトンはオートマティスムを「理性のコントロールを受けず、審美的・道徳的な先入観から完全に解放された、思考の純粋な記録である」と定義づけました。
オカルト信奉者が「外部の霊との通信手段」として神聖視した道具立てを、シュルレアリストたちは「人間の内奥に眠るフロイト的無意識を解放するための創作技法」へと劇的に読み替えたのです。