高嶋道夫の現在と経歴|劇伴界を革新した名プロデューサーの実績と真実
高嶋道夫氏の経歴を語る上で欠かせないのが、CBS・ソニー時代から続くサウンドトラック(サントラ)部門での目覚ましい実績です。1970年代から1980年代初頭にかけて、映画や特撮番組の音楽は「主題歌レコードの添え物」として扱われるケースが多く、劇中に流れるBGMは放送終了とともに倉庫で眠り続け、マスターテープが廃棄・散逸する危険に常に晒されていました。
この危機的状況に対し、高嶋氏は放送局や東宝、円谷プロダクションなどの撮影所・レコード会社の倉庫を徹底的に探索。埃を被ったオープンリールテープを救出し、台本や制作当時の選曲表(キューシート)と1曲ずつ照らし合わせるという気の遠くなる作業を敢行しました。いわゆる「Mナンバー(M-1、M-2などシーンに合わせて作曲された管理番号)」を正確に割り出し、未収録音源や別テイクまでをも完全収録する「ミュージックファイル」的な構成手法を確立した功績は計り知れません。
手掛けた関連作品は多岐にわたり、円谷プロの『ウルトラマン』シリーズや『ウルトラセブン』をはじめとする歴代特撮作品のコンプリートBGM集、東宝特撮映画(伊福部昭氏や佐藤勝氏の楽曲群)、さらには昭和の名作刑事ドラマやアニメ作品に至るまで、膨大なアーカイブを世に送り出しました。当時のインタビューやライナーノーツにおいて高嶋氏は、「劇伴とは単なる背景の音ではなく、作品の世界観を永遠に保存するタイムカプセルである」という趣旨の熱いメッセージを幾度となく残しています。