ルーマニア独裁者チャウシェスク処刑の真相|電撃銃殺と宮殿の闇
チャウシェスク政権を語る上で欠かせないのが、東欧で最も冷酷と恐れられたセクリターテ秘密警察の存在です。全人口の数十人に1人が情報提供者として組織され、電話の盗聴、郵便物の開封、家庭内での密告が日常茶飯事でした。「家族同士でも本音を話せない」という極度の不信感が社会全体を覆い尽くしていたのです。
さらに悲惨を極めたのが、国力増強を名目に強行された狂気の人口増殖政策です。政権は1966年に中絶と避妊を法的に全面禁止し、女性に対して最低4人(後に5人)の出産を義務付けました。「月経警察」と呼ばれる医療チームが職場を巡回し、妊娠検査を実施。この無謀な政策の結果、経済的に育てられない子どもたちが街や養護施設に溢れ返り、深刻なルーマニア孤児問題の実態へと発展しました。
施設に収容された10万人を超える孤児たちは、暖房も満足にない不衛生な環境で放置され、栄養失調や虐待に晒されました。さらに、体力を回復させる名目で実施された無選別な輸血により、多数の乳幼児がHIVに感染するという人道的大惨事まで引き起こされたのです。