宮内庁御用達「深川製磁」の真価とは?香蘭社との違いと深川ブルーの全貌
有田焼を語る上で避けて通れないのが、「深川製磁」と「香蘭社」の比較です。両社は同じ深川家の血統から生まれた兄弟窯でありながら、歩んだデザイン哲学と表現世界は明確に異なります。
香蘭社は、八代深川栄左衛門らが1875年に創立した名門であり、日本の伝統的な花鳥風月や雅やかな赤絵、絢爛な金彩を特徴とします。宮内庁御用達の格式を守りつつも、有田焼本来の「古伊万里」「柿右衛門」の流れを正統に受け継ぐ、クラシカルで格調高い和の美学が根底にあります。
対する深川製磁は、創業当初から「フカガワチャイナ」として海外市場を見据えていたため、洋食器としての使い心地とモダンなグラフィック感覚を徹底追及しました。その象徴が、酸化コバルトを用いた染付技法から生まれる「深川ブルー(瑠璃)」です。透き通る白磁の上に浮かび上がる深く艶やかな青は、香蘭社の鮮やかな色絵とは一線を画す、静謐で現代的なオーラを放っています。