ボロネーゼとは?ミートソースとの違いと本場ボローニャ伝統の真実
ボロネーゼを語る上で欠かせないのが、パスタの選択です。日本では日常的にスパゲッティ(断面が丸い棒状の麺)が使われますが、発祥の地ボローニャで「スパゲッティ・ボロネーゼ」を注文することは、料理のアイデンティティを損なうタブーに近い行為と見なされます。
現地で絶対の正統とされる組み合わせは、エミリア=ロマーニャ州特産の「タリアテッレ(tagliatelle)」です。軟質小麦粉と新鮮な卵を練り込んで作られる平打ちの生パスタで、幅は約7〜8mm。茹で上げると麺の表面に適度なざらつきと厚みが生まれます。
なぜタリアテッレでなければならないのか。その理由は流体力学と接触面積の物理的関係にあります。ボロネーゼは、サラサラとした液状のソースではなく、ゴロゴロとした粗挽き肉の塊です。丸く細いスパゲッティでは肉の重みに耐えられず、麺をフォークですくい上げても具材がすべて皿の底に滑り落ちてしまいます。幅広でコシのあるタリアテッレであれば、平らな麺の表面が肉の塊とソースをしっかりとキャッチし、麺の小麦の風味と肉の旨味が完璧な比率で口元まで運ばれます。
もしタリアテッレが手に入らない場合、ボロネーゼに合うおすすめパスタとしては、さらに幅広のフェットチーネやパッパルデッレ、あるいは筒状でソースが内側に入り込むリガトーニやペンネなどのショートパスタが推奨されます。