皇居・長和殿の全貌|全長160Mの内部構造と防弾ガラスの歴史
長和殿の中央部、長さ約100メートルに及ぶテラス状の空間が、一般参賀の舞台となる「ベランダ」です。ここで皇族方がお手を振られる姿は日本のお正月の風物詩ですが、このガラス張り構造には昭和史に残る緊迫の事件が深く関わっています。
新宮殿が完成した直後の1969年(昭和44年)1月2日、第1回目となる新年一般参賀の最中に事件は起きました。参賀者の中に紛れ込んでいた元兵士・奥崎謙三が、昭和天皇に向かってパチンコ玉3発を連続発射したのです。パチンコ玉は昭和天皇の足元付近やベランダの梁に当たり、幸いにも皇族方に怪我はありませんでしたが、皇室警護のあり方を根本から揺るがす重大インシデントとなりました。
この事件を受け、宮内庁と警察庁は即座に警備体制を刷新。翌1970年の一般参賀からは、皇族方がお立ちになるベランダ中央部に大型の強化防弾ガラスが設置されることになりました。現在の防弾ガラスは、光の反射を抑えて参賀者からの視認性を妨げない特殊加工が施されており、高強度ポリカーボネートと合わせガラスを組み合わせた最新のセキュリティ技術によって、至近距離からの銃弾や飛来物にも耐えうる堅牢性を誇っています。