作家せきしろの魅力と現在|又吉直樹との名作から自由律俳句まで徹底解剖

作家せきしろの魅力と現在|又吉直樹との名作から自由律俳句まで徹底解剖の全体像を丁寧に掘り下げてご紹介します。

せきしろ氏の足跡を語る上で欠かせないのが、芥川賞作家でもある芸人・又吉直樹氏とのコラボレーションです。互いに人見知りで自意識の扱いを持て余していた2人が出会い、意気投合したことで生まれたのが、自由律俳句と散文を融合させた一連の共著シリーズでした。

2009年に幻冬舎から刊行された『カキフライが無いなら来なかった』は、五七五の定型に縛られない「自由律俳句」の面白さを若年層や読書ファンへ一気に浸透させた記念碑的著作です。

  • 「カキフライが無いなら来なかった」(せきしろ)
  • 「冷房の効きすぎた部屋で爪を切る」(又吉直樹)

続く『まさかジープで来るとは』(2010年)、そして『蕎麦湯が来ない』(2026年)へと至るシリーズでは、互いの句に短いエッセイ(散文)を添え合う独特の往復書簡形式が採用されました。両者の間には、過度にお互いを褒め称えるでもなく、無理にオチをつけにいくでもない、奇妙で心地よい緊張感が漂っています。

当時のインタビューや対談で明かされている通り、2人の創作姿勢は「お互いの孤独を尊重しつつ、同じ波長で世界のズレを面白がる」という絶妙な距離感に基づいています。哀愁と失笑が同居するこの共闘関係こそが、自由律俳句という伝統詩形に新たな息吹を吹き込んだ原動力と言えます。

伊藤 翔太

伊藤 翔太

フード&トラベルライター

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。