元たま石川浩司の現在と解散の真相|ランニング姿の奇才が歩む道
石川浩司を語る上で欠かせないのが、一度見たら脳裏から離れないそのビジュアルと演奏スタイルです。白のランニングシャツに短パン、素足という出で立ちは、決して計算されたマーケティング戦略から生まれたものではありませんでした。
当時のライブハウスは冷房設備が不十分で、演奏中に汗だくになることから「最も動きやすく涼しい格好」を突き詰めた結果、自然発生的に定着したスタイルです。この飾り気のない無邪気さと、楽曲が持つどこか不穏で文学的な世界観とのギャップが、伝説のオーディション番組『三宅裕司のいかすバンド天国(イカ天)』で審査員と視聴者の度肝を抜きました。
また、彼が操るパーカッションセットは、既製品のドラムセットを排した完全オリジナルです。スネアドラムに鍋の蓋、漬物樽、金属製のゴミ箱、鈴やトイ楽器を針金やガムテープで固定した特製セットは、リハーサルスタジオ代を節約するために「身近な生活廃材で音を鳴らす」という極貧時代の工夫から生まれました。既成概念にとらわれないその打音は、たまの摩訶不思議なアンサンブルの心臓部として機能し、1990年のメジャーデビュー曲『さよなら人類』のミリオンセラーとともに日本全国へ浸透していきました。