岸信介と安倍晋三の血脈と宿命|昭和・令和を貫く政治思想の真相
二人の政治的遺産を語る上で欠かせないのが、保守思想の継承と清和政策研究会(清和会)という派閥の存在です。
1955年の保守合同によって自民党が誕生した際、岸信介はその中心人物でした。岸が目指した国家像は、GHQによる占領統治体制(いわゆる「戦後レジーム」)を清算し、自前の軍隊を持つ独立主権国家としての誇りを取り戻すことにありました。1979年に福田赳夫が正式に立ち上げた「清和会」は、岸の政治理念である「自主憲法の制定」「外交・安全保障の自主性強化」を基本理念として受け継いだ集団です。
安倍晋三が2006年の第1次政権で掲げたスローガン「戦後レジームからの脱却」は、祖父・岸信介が成し遂げられなかった政治的宿願そのものでした。
第2次政権以降、安倍は長年の憲法解釈を変更し、2015年に集団的自衛権の限定行使を容認する安全保障関連法を成立させました。これは、1960年に岸が命がけで新安保条約を結び「日米共同防衛」の第一歩を刻んだ歴史に対する、半世紀越しの孫からの応答であったと言えます。祖父が残した宿題を孫が引き受け、現代の国際情勢に適合する形へとアップデートした瞬間でした。