樹木希林の本が今も心救う理由|名作『一切なりゆき』の評判と読む順番
インターネット上では、樹木希林さんを「すべてを許す慈悲深い聖母」のように美化する言説が散見されますが、これは彼女の本来の生き方を矮小化する誤解です。
生前の彼女は決して柔和なだけの人ではありませんでした。現場では監督や共演者に対しても妥協のない厳しい意見を率直にぶつけ、お金の管理や契約関係も自ら徹底して管理する極めて現実的でシビアなビジネスパーソンでもありました。
また、内田裕也さんとの破天荒な夫婦関係についても、世間一般の「尽くす妻」とは全く異なります。離婚裁判で勝訴して籍を残しながらも、40年以上別居を続け、お互いの領分を侵さない独自の距離感を維持しました。彼女が説いたのは「無条件の許し」ではなく、「他者への過度な期待の破棄」だったのです。