なぜ有権者は熱狂する?劇場型選挙の罠とSns時代の政治の裏側
直近の選挙現場を取材すると、従来の政治集会とは全く異なる熱気と異様な空気が漂っています。平日の夕暮れ、主要ターミナル駅の駅前広場を埋め尽くす群衆の多くは、動員された組織票の姿ではなく、スマートフォンの画面を掲げる一般の市民たちです。
現場でスマートフォンを三脚に固定し、熱心に生配信を行っていた30代の会社員男性は次のように語りました。
「正直、候補者が掲げる公約の財源がどうなっているかは詳しく知りません。でも、既存の政治家や大手メディアを真正面から論破する姿を見ていると、胸がすくような気持ちになる。自分が社会で感じている息苦しさをぶち壊してくれるんじゃないかという期待感があるんです」
一方、別の陣営の演説に足を止めていた50代の女性からは、戸惑いの声も聞かれました。
「SNSで流れてくるショート動画を見て気になって演説に来ました。話はとても分かりやすくて惹きつけられますが、周りの聴衆が反対意見を口にした人を取り囲んで怒鳴りつける場面を見て、少し恐怖を覚えました。まるで宗教的な集会のような異様な熱量を感じます」
ネット上の言説を追うと、「政策の中身より、誰が一番スカッとさせてくれるか」「論破できるリーダーが欲しい」といった声が目立ちます。有権者は実効性のある統治プランを求めている以上に、閉塞感を打ち破ってくれるカタルシスと、共有できる「感情の体験」を求めて選挙の現場に足を運んでいる実態が浮き彫りになっています。