ひよこ鑑定士養成所の現在は?募集停止の噂の真相と難易度を解説
ひよこ鑑定士が広く若者の憧れとなった最大の動機は、その高年収と海外需要でした。「高等鑑別師になれば、ヨーロッパやオーストラリアなどの大規模養鶏場から高待遇でオファーされ、年収1,000万円超を叩き出せる」というサクセスストーリーです。
実態として、現在でも国内にとどまる場合の年収は約400万〜600万円前後が相場ですが、海外派遣や委託契約を結ぶベテラン鑑定士の場合、歩合給と為替(円安)の恩恵を受けて年収800万〜1,000万円超に達するケースは実在します。日本人鑑別師の器用さと正確無比なスピードは「マジックハンド」として世界中の孵化場で絶大な信頼を勝ち得てきた歴史があるからです。
しかし、2026年代半ばからこの図式を根底から揺るがしている巨大な構造変化があります。それが、欧州を中心に急速に法制化されたアニマルウェルフェア(動物福祉)規制と、卵内性別鑑別(In-ovo sexing)技術の実用化です。
ドイツやフランスでは、卵から孵化した直後の雄雛を殺処分することが法律で禁止されました。採卵鶏の雄は卵を産まず、肉用としても肉付きが悪いため、世界中で生後すぐに処分されてきた歴史があります。この「雄雛の殺処分問題」を倫理的に解決するため、孵化前の卵の段階で光学的分析やホルモン抽出によって性別を特定し、雄の卵は孵化させずに加工飼料へ回す新技術が普及しました。
この結果、欧州の一部地域では「生後直後のひよこを大量に手作業でめくって鑑別する現場」そのものが縮小傾向にあります。海外需要がゼロになったわけではありませんが、かつてのように「資格さえあれば無条件で欧米から高給で呼ばれる」という時代は終わりを告げ、南米やアジアなどの新興成長市場へのシフトや、高度な血統管理を行う原種鶏場などの超プレミアム領域に限定されつつあるのが過酷な現状です。