下の血圧が低い人が見落とす動脈硬化の危険なサイン5つ
インターネット上の健康情報では、「下の血圧が低い原因=単なる体質や低血圧症」と一括りにされがちですが、これには明確な誤解があります。若い女性などに多い「全身性の低血圧症」であれば、上も下も全体的に低い(例:上95/下55など)傾向を示し、血管自体の弾力性は保たれていることが大半です。警戒すべきは、「上は保たれているのに下だけが孤立して下がる」ケースです。
この病態の背景には、動脈硬化以外にも下の血圧だけ下がる病気が隠れている可能性があります。その代表例が以下の3つです。
1. 大動脈弁閉鎖不全症(心臓弁膜症)
心臓の左心室から大動脈へ血液を送り出す出口にある「大動脈弁」が、加齢や石灰化によって完全に閉じなくなる疾患です。血液を送り出した直後、本来なら弁が閉じて圧力を保つはずが、送り出した血液の一部が心臓へ逆流してしまいます。これにより、拡張期の血管内圧が劇的に下がり、下の血圧が30〜40台まで激減することがあります。
2. 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、基礎代謝が異常に亢進し、全身の末梢血管が拡張します。同時に心臓の拍動は強くなるため、収縮期血圧は押し上げられる一方、末梢の抵抗が抜けて拡張期血圧が急低下し、脈圧が極端に広がる特徴的な血圧波形を示します。
3. 重度の貧血・脱水症状
循環血液量そのものが不足していたり、極端なヘモグロビン低下により血液の粘度(粘稠度)が落ちている場合、血管内を巡る抵抗が下がり、拡張期の圧力が著しく抜けてしまう現象が起こります。
このように、「下が低い」という一つの現象の裏側には、単なる年齢のせいでは片付けられない循環器・内分泌系の重大な異常シグナルが潜んでいる場合があるのです。