ストレッチャーとは?担架との違いや種類・救急現場の仕組みを徹底解説
インターネット上の掲示板やSNSでは、「救急車のストレッチャーは硬くて乗り心地が悪い」「担架のほうが軽いから何でも対応できるのではないか」といった誤った言説が散見されます。しかし、実際の臨床現場や救急隊員の証言を分析すると、まったく異なる工学的・医学的理由が浮かび上がってきます。
「ストレッチャーマットが硬い」という誤解の真相
患者や家族から「ベッドよりマットレスが硬くて腰が痛い」という声が上がることがあります。しかし、この硬さは設計上の意図的な仕様です。救急ストレッチャーのマットレスが柔らかすぎると、搬送途中に心肺停止(CPA)へ陥った際、胸骨圧迫の力が沈み込んで心臓に伝わらなくなってしまうためです。効果的な蘇生処置を行える硬度を保ちつつ、褥瘡予防用ウレタンを多層化させる高機能マットが開発されています。
【プロの結論】導入・運用で失敗しないための判断基準
施設設備や搬送体制を構築する際、どのような基準でストレッチャーや移乗機器を選択すべきでしょうか。現場のリスク管理と運用負荷の観点から明確な指針を示します。
- ストレッチャー導入を最優先すべき環境:
- 点滴・人工呼吸器・ドレーン類を留置した患者の移動が日常的に発生する医療機関。
- 移動距離が長く、ワンオペまたは少人数での搬送が求められるフラットフロア施設。
- 搬送中の転落や腰痛による労災事故を根本的に根絶したい介護事業所。
- 担架・レスキューシート等の併用・常備にとどめるべき環境:
- 築年数が古く、廊下幅が狭隘でエレベーター奥行きが2,000mm未満の集合住宅や小規模事業所。
- 災害時の階段避難(垂直避難)が主たる想定シナリオとなる現場(階段昇降機付き担架が適任)。