吉幾三『おら東京さ行くだ』世界が熱狂!日本語ラップ始祖の真実
吉幾三の故郷である青森県五所川原市。津軽平野の豊かな自然と厳しい冬の寒さに育まれた彼の感性は、常に泥臭くも温かい人間味に溢れていた。上京後にフォークソングや演歌の世界で下積みを重ねていた彼にとって、故郷のリアルな空気感を歌詞に投影することは極めて自然な表現行動だったと言える。
しかし、本格派歌手としてのキャリアを歩み始めていた時期に、田舎のインフラ不足を徹底的にコミカルへ振った楽曲を発表することは大きな賭けでもあった。周囲の反対を押し切り、己の感覚を信じて突っ走った決断が、のちに彼のアーティスト像を決定づけることとなる。