日本語が通じる国決定版!公用語の真相から安心の旅先まで徹底検証
「日本以外に日本語を公用語に定めている国がある」という言説は、雑学として広く知られています。その対象とされるのが、太平洋の島国・パラオ共和国のアンガウル州(Angaur State)です。
アンガウル州憲法(Constitution of the State of Angaur)第12条第1項には、明確に「パラオ語、英語、ならびに日本語をアンガウル州の公用語とする」旨が明記されています。国家単位ではなく「地方自治体(州)」の憲法という位置づけですが、世界で唯一、成文法上で日本語を公用語として規定している公的文書であることは歴史的事実です。
なぜミクロネシアの孤島で日本語が公用語になったのでしょうか。その背景には、第一次世界大戦後の1920年から第二次世界大戦終結の1945年まで続いた、大日本帝国による南洋群島の委任統治領時代の歴史があります。当時、アンガウル島はリン鉱石の採掘拠点として栄え、多くの日本人が移住しました。島民に対する日本語教育も熱心に行われ、インフラ整備とともに日本語が共通語として定着した経緯があります。1982年にアンガウル州憲法が制定された際、日本統治時代への親愛と歴史的繋がり、日系住民への配慮から日本語が公用語の一つに加えられました。
しかし、現代の旅行者が過度な期待を抱くのは禁物です。現地取材およびパラオ政府観光局の資料によると、現在アンガウル島に定住する住民は100名〜150名前後に過ぎず、統治時代に日本語教育を受けた世代の多くが高齢で世を去りました。現在の島民の日常会話はパラオ語と英語が主流であり、日常的に流暢な日本語で会話ができる住民はほとんど残っていません。行政文書や学校教育で日本語が日常使用されているわけでもなく、実質的には「歴史的・文化的な象徴としての公用語指定」という側面が強いのが現場のリアルです。