令和の路上に咲く昭和の異端——なぜ今「コルクヘルメット」がZ世代を魅了するのか?安全性とカルチャーの狭間で揺れるバイク市場のリアル
歴史を紐解くと、コルクヘルメットの起源はバイク用ではない。19世紀の欧州で探検家や植民地軍が着用していた防暑帽(ピスヘルメット)にまで遡る。軽量で断熱性に優れたコルク素材は、熱帯地帯での頭部保護に最適とされていた。
これが日本に輸入され、作業用メットや初期の単車用防具へと転用されたのが昭和中期のことだ。当時は現在のような高硬度ポリカーボネートやグラスファイバーのシェルが存在せず、コルクが衝撃吸収と通気性を兼ね備えた最先端の素材だった。
やがて80年代のバイクブームとともに、若者たちはこのヘルメットを自分たちのキャンバスへと変えていった。日章旗や富士山、独特のグラデーション塗装を施す「コルク半カスタム」の誕生である。海外のモータースポーツ文化とはまったく異なる、日本独自のストリート・カルチャーがこうして結実した。