中新世の海を闊歩したデスモスチルス!生息時代と絶滅の謎を追う

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デスモスチルスを語る上で欠かせない最大の身体的特徴が、学名の由来(Desmos=束ねる、Stylos=柱)にもなった「束柱状の臼歯」です。太いエナメル質の円柱パイプが複数本ギュッと束ねられたような独特な構造をしており、他の哺乳類には類例がほとんどありません。

分類学上、デスモスチルスは「束柱目(そくちゅうもく / Desmostylia)」と呼ばれる絶滅哺乳類グループに属します。ゾウやマナティーが属するアフリカ獣上目(近蹄類)に近い系統と考えられており、分子系統や形態比較の研究によって、陸生哺乳類から水生生活へと適応していく初期の実験的段階を象徴する生物であることが明らかになってきました。

この強固な歯の役割については長らく議論が続いてきました。かつては「貝類や甲殻類を噛み砕いて食べる底生生物食」とする説が有力視されていましたが、歯の微細な摩耗痕(マイクロウェア)や安定同位体比の精密分析により、現在では「浅瀬に生えるアマモや海草類を根こそぎ引き抜いてすり潰して食べていた草食性(海草食)」という見方が定説となっています。

山口 彩花

山口 彩花

写真家・フォトエディター

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。