北朝鮮の歌姫ヒョン・ソンウォル現在の姿は?処刑説の真相と権力序列
ヒョン・ソンウォル氏の名が国際社会で決定的に知れ渡る契機となったのが、2013年8月に突如として報じられた衝撃的な「処刑説」でした。韓国の一部大手紙が「北朝鮮の有名歌手らがわいせつ動画を制作・販売した容疑で公開銃殺され、その中にヒョン・ソンウォル氏も含まれていた」と大々的に報道。世界各国のメディアがこれを引用し、独裁国家の粛清劇としてセンセーショナルに伝えられました。
しかし、この情報は完全な誤報でした。事件報道から約9カ月後の2014年5月、平壌で開催された「第9回全国芸術人大会」の壇上に、軍服姿の彼女が何食わぬ顔で登壇。金正恩体制への揺るぎない忠誠を誓う演説を生中継のテレビカメラの前で行い、世界を驚かせました。
なぜこのような根拠のない噂が流布したのか。専門家の分析では、同時期に実際に起きた一部芸術関係者の規律違反や処分をめぐる情報が、脱北者や情報筋の間で伝言ゲームのように歪められ、大物歌手であった彼女の名前と結びついて誇張された可能性が高いとされています。死の淵から蘇ったかのようなこの一件は、かえって彼女の存在感と体制内での強固な立場を国際社会に印象づける結果となりました。